■じわり東京に
山口組は準構成員を含め約3万9000人で、国内の暴力団の約45%を占める。関西が拠点だが、「全国に勢力を広げる上で、『稼げる』東京への進出は大きな課題だった」(警視庁捜査幹部)という。
東京進出が本格的に始まったのは、90年に八王子市内で起きた地元暴力団との「八王子抗争」だ。その後、徐々に都内の構成員を増やし、東京では4番目の勢力になった。今回、国粋会を傘下に収めたことで、指定暴力団稲川会を抜き、住吉会、極東会に続き3番目になる見込み。
国粋会は銀座、渋谷、六本木など都内の主要繁華街を「縄張り」としており、他団体に「縄張り」を貸している地域もある。山口組がこうした地域から他団体の撤退を求めれば、抗争に発展する可能性もある。警視庁捜査幹部は「東京の暴力団の勢力図が大きく変わるかもしれない」と警戒する。
■進む武装化
国内の暴力団抗争事件の発生件数は00年以降、1けたが続き、ほぼ横ばい。暴力団が関与する発砲事件も年々減少傾向にあり、昨年は85件、都内では今年1件しか発生していない。しかし今年4月、愛知県警は、山口組弘道会系暴力団組長らが管理していた名古屋市内の貸倉庫を「武器庫」とみて捜査、拳銃2丁と実包82個のほか、米国製とみられる軍用の自動小銃まで見つかった。
山口組は7月に5代目組長が退き、6代目に弘道会会長だった篠田建市(通称・司忍)組長が就いた。捜査当局によると、篠田組長は山口組の中でも「武闘派」とされ、「今後、拡大路線を強める可能性もある」という。
■防弾チョッキ姿も
警視庁は今月中旬、山口組集中取締特別捜査本部を設置し、国粋会周辺を中心に山口組の動向に警戒を強めている。銀座の商店街関係者によると、最近は防弾チョッキを着て巡回する警察官の姿も目立つようになったという。
地元商店街幹部は「暴力団の抗争などが起きて一般人が巻き添えになるのが一番怖い。銀座は昼も夜も、どこの街より安心、安全だという自負があるのに」と困惑した様子。銀座の情報誌編集長も「銀座はイメージが大切な街。何か事件が起きた時の影響が怖い」と話している。
(2005.9.25/毎日新聞)

